コーヒー&シガレッツ
ずいぶん長いあいだ録画したままになっていた、ジム・ジャームッシュ監督の映画『コーヒー&シガレッツ』を観ました。
コーヒーとタバコをめぐる11のショートストーリーを、一本の劇場映画に仕立てたものです。カフェで繰り広げられる何気ない会話のなかに、心がほぐれるようなおかしみがあったり、聞き過ごすことのできない含みのある言葉がちりばめられていたり。
その味わいある台詞の効果か、じんわりとこの映画が好きになっていくから不思議です。これといった筋立てのない映画なので、万人にはうけないかもしれませんが、好きなひとははまるんじゃないかな。
しばらく録画を消さずにいたのは、役者トム・ウェイツが観たかったから。ミュージシャンとしての彼は大好きなのですが、演技をしたらどんなふうなのだろうと、これまで少し疑心暗鬼なところがあったのです。でも思いのほか雰囲気のある演技で、役者トム・ウェイツもなかなかチャーミングで驚きました。曲といっしょで、ほんとうにかっこいい!
俳優たちは実名で出てくるので、会話を聞いているとアドリブかと思ってしまいますが、シナリオはジム・ジャームッシュ監督の自由な創作によるものとのこと。なので、みなだれかを演じているはずなのですが、ふとした拍子に素が出てしまっているようにもみえます。そこがなんとも可笑しい。トム・ウェイツもしかり。
トムのヘンな質問に、つい困った顔をしてしまうイギー・ポップにも笑えます。ちなみに、二人が演じた『カルフォルニアのどこかで』は、93年のカンヌ映画祭短編部門でパルム・ドールを受賞しているそうです。
ほかに印象的だったのは、ケイト・ブランシェットが一人二役を演じる『いとこ同士』。彼女の圧倒的な存在感に、つい見ほれてしまいます。
そしてビル・マーレイの『幻覚』はもう、爆笑レベル! 彼がスクリーンに登場するだけで、なぜか笑ってしまいます。彼が演じる役はすべて、彼の魅力と相まってこっけいな人物になってしまうんですよね。初老の男の悲哀を演じたら、彼の右に出る者はいないでしょうね。
ほかにも映画のクロージングを飾る、ビル・ライスとテイラー・ミードの『シャンパン』がよかった。まずいコーヒーをシャンパンに見立てて乾杯をしようと提案する、定年間際、あるいは人生の終焉を迎えているかのような老人テイラー・ミードの台詞は、とりわけ意味深で胸に響くものがありました。
この映画を観て、アゴタ・クリストフの戯曲『ジョンとジョー』を思い出しました。こちらもカフェを舞台にした短編戯曲。07年の暮れに、新宿ゴールデン街劇場で観た柄本明さんの舞台も、なかなかユニークで素晴らしかった。
アゴタの作品は、ユーモアのなかに人間の真理のようなものが潜んでいて、読むと病みつきになる面白さがあります。柄本明さんの語り口の独特さと、台詞の間合いの絶妙さで、舞台もとても魅力あるものになっていました。
アゴタの戯曲は、この前も神楽坂のシアターイワトで『エレベーターの鍵』と『灰色の時刻、あるいは最後の客』(第6回ZORA公演)が上演されています。私は残念ながら観に行けませんでしたが。演劇界にもアゴタのファンは多いんでしょうね。
『コーヒー&シガレッツ』の舞台版があったら、けっこう面白いんじゃないかな、なんて。これだけ個性派俳優がそろっていると、キャスティングがちょっと難しいかもしれないけれど。
コーヒーとタバコをめぐる11のショートストーリーを、一本の劇場映画に仕立てたものです。カフェで繰り広げられる何気ない会話のなかに、心がほぐれるようなおかしみがあったり、聞き過ごすことのできない含みのある言葉がちりばめられていたり。
その味わいある台詞の効果か、じんわりとこの映画が好きになっていくから不思議です。これといった筋立てのない映画なので、万人にはうけないかもしれませんが、好きなひとははまるんじゃないかな。
しばらく録画を消さずにいたのは、役者トム・ウェイツが観たかったから。ミュージシャンとしての彼は大好きなのですが、演技をしたらどんなふうなのだろうと、これまで少し疑心暗鬼なところがあったのです。でも思いのほか雰囲気のある演技で、役者トム・ウェイツもなかなかチャーミングで驚きました。曲といっしょで、ほんとうにかっこいい!
俳優たちは実名で出てくるので、会話を聞いているとアドリブかと思ってしまいますが、シナリオはジム・ジャームッシュ監督の自由な創作によるものとのこと。なので、みなだれかを演じているはずなのですが、ふとした拍子に素が出てしまっているようにもみえます。そこがなんとも可笑しい。トム・ウェイツもしかり。
トムのヘンな質問に、つい困った顔をしてしまうイギー・ポップにも笑えます。ちなみに、二人が演じた『カルフォルニアのどこかで』は、93年のカンヌ映画祭短編部門でパルム・ドールを受賞しているそうです。
ほかに印象的だったのは、ケイト・ブランシェットが一人二役を演じる『いとこ同士』。彼女の圧倒的な存在感に、つい見ほれてしまいます。
そしてビル・マーレイの『幻覚』はもう、爆笑レベル! 彼がスクリーンに登場するだけで、なぜか笑ってしまいます。彼が演じる役はすべて、彼の魅力と相まってこっけいな人物になってしまうんですよね。初老の男の悲哀を演じたら、彼の右に出る者はいないでしょうね。
ほかにも映画のクロージングを飾る、ビル・ライスとテイラー・ミードの『シャンパン』がよかった。まずいコーヒーをシャンパンに見立てて乾杯をしようと提案する、定年間際、あるいは人生の終焉を迎えているかのような老人テイラー・ミードの台詞は、とりわけ意味深で胸に響くものがありました。
この映画を観て、アゴタ・クリストフの戯曲『ジョンとジョー』を思い出しました。こちらもカフェを舞台にした短編戯曲。07年の暮れに、新宿ゴールデン街劇場で観た柄本明さんの舞台も、なかなかユニークで素晴らしかった。
アゴタの作品は、ユーモアのなかに人間の真理のようなものが潜んでいて、読むと病みつきになる面白さがあります。柄本明さんの語り口の独特さと、台詞の間合いの絶妙さで、舞台もとても魅力あるものになっていました。
アゴタの戯曲は、この前も神楽坂のシアターイワトで『エレベーターの鍵』と『灰色の時刻、あるいは最後の客』(第6回ZORA公演)が上演されています。私は残念ながら観に行けませんでしたが。演劇界にもアゴタのファンは多いんでしょうね。
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